美容室をオープンする時に意外と設定が難しいのが「コンセプト」。コンセプトなしでとりあえず美容室を始めてしまうと、結果的にお客さまに選ばれない美容室になってしまうので、時間がかかっても必ず設定したいところです。
街に溢れている美容室を選ぶ時に、メニューの料金や家からの距離で選ぶのはもちろんですが、それ以外のところで選ばれるためには具体的なコンセプトを設定し、他の美容室と差をつけることが必要です。
また、スタッフを募集しているのであれば採用の場面でもコンセプトのない美容室より圧倒的に選ばれるようになります。
コンセプト設定の落とし穴
美容室のコンセプトを設定する時にやってしまいがちなのが、「おしゃれで洗練された空間」や「木のぬくもり溢れる癒しの空間」など、大まかな空間のイメージをコンセプトとして設定してしまうことです。
これらの例はコンセプトの1つの要素としては確かに存在しますが、美容室の基軸となるコンセプトではありません。では、本当のコンセプトととはどういったものなのでしょうか。
正しいコンセプト設定の仕方
コンセプトとは「空間コンセプト」のことではなく、全体の一貫した考え方のことであり基本的な概念や理念のことを指します。では、どういったポイントからコンセプトを導きだせばよいか詳しく説明します。
開業にいたった理由を思い出す
まずは、美容室を開業するにいたった動機を整理してみましょう。開業が決まり、準備に追われるとついついその想いを忘れてしまいがちです。
「来店からお帰りまで一人の担当が全て対応する美容室にしたい」
「もっと髪の痛まないカラー剤を使ってあげたい」
「一人ひとりのカウンセリングに時間をかけたい」
など、 以前の美容室ではかなわなかったことを実現したいという想いから開業を決意したはずです。この美容室でしかできないサービスを提供したいという根底にある想いを見つめ直しましょう。
「誰に何をどのように提供するか」を明確にする
コンセプトと切っても切り離せないのがターゲットです。先にあげた、美容室を始めようと思った動機に繋がるターゲットに自然となるかとは思いますが、ターゲットを設定する時も大雑把なものではなく「一人」に刺さるターゲットにすることが必要です。
例えば、最初に以下のようなターゲットを設定したとします。実際には「ペルソナ」と呼ばれる架空の人物像を作りあげ、より詳細な行動パターンや趣味嗜好などを設定していきましょう。
・20代までにブリーチやカラーを繰り返し、艶が全くなくなってしまった夫と子供一人を持つ30代の専業主婦。
・ゆっくり美容室に行きたいけど、小さい子供がいると定期的に通うことが難しい。
・できれば一人の美容師にカウンセリングからお会計までしてほしい。
これに対し、それぞれの悩みを解決するような美容室側でできる方法を考えます。
- 艶を取り戻したい→髪に優しいカラー剤やシャンプートリートメントにこだわる
- 子供がいるので美容室に行くのが難しい→キッズスペースを作り、お子さんと一緒に来店できるようにする
- 最初から最後まで一人の美容師についてほしい→一人にかける時間が増えるので1日何組様限定など特別感を与える
このように、ターゲットを設定することで見えてくる、この美容室でしか提供できないことがコンセプトの軸となってきます。
ターゲットを明確にすることで空間コンセプトも固まる
最初にコンセプト=美容室全体の空間のイメージしてしまうということをお話しましたが、開業の動機とターゲットを明確にすることで自然と空間コンセプトも固まってきます。コンセプトを決めない状態で内装や空間イメージに着手してしまうと、途中で不具合が生じかねません。
第一にターゲットとしたお客さまに喜ばれるような空間であり、この美容室でしか提供できない行動を反映した空間でなければなりません。例えば、小さいお子さん連れでも安心してもらえるように通路を広くし、キッズスペースの床は柔らかい素材にしたり、ターゲットごとに空間イメージを変えていく必要があります。
コンセプトが固まったら発信する
せっかくコンセプトが固まったとしてもそれを発信しなければ意味がありません。SNSやホームページを使ってしっかりとコンセプトを打ち出していきましょう。
この美容室に来るとどうなれるのか、どんな悩みが解決されるのか、どういった空間を味わえるのかなどお客さま目線にたったコンセプトであることを記載しましょう。その上で開業にいたった想いを伝えていくとより美容室の想いを汲み取ったお客さまが来店してくれるでしょう。
まとめ
美容室のコンセプトとは、この美容室でしかできないことを提供することです。そのためにはターゲットに沿ってサービスや空間に表していく必要があります。
コンセプトを設定する時に、もう一度開業しようと思った理由を思い出し、本当に自分が提供したいと思ったターゲットを掘り下げて、その一人の人ために何ができるかということを考えましょう。そうすると、おのずと美容室側で行う行動が見えてきたり、空間イメージも固まってきます。